ドローンを飛行させる「場所(空域)」については以前の記事で解説をしましたが、今回は「飛行のルール・航空法」について解説をします。
航空法では、「禁止・遵守」が求めらる規制と「国土交通大臣の承認」が必要な規制に分かれますが、この記事では各規制の概要と罰則を中心に解説をします。
記事のポイント
航空法が定める「禁止・遵守」が求められる規定
「国土交通大臣の承認」が必要な規制
各規制の罰則規定
航空法に於ける各規制のポイントを簡潔に解説しますので、ドローンの操縦をこれから検討したい初心者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
※飛行の許可が必要となる「空域」についてはこちら⇩⇩⇩
ドローン飛行のルール|航空法
冒頭に解説したとおり、ドローンの操縦に欠かせない遵守すべき法律の一つが「航空法」です。
この航空法の中ではドローンの飛行に関する規制が定められており、「例外を問わず禁止」されているものから「承認があれば許容」されるものに分かれます。
ここからは、それぞれのポイントについて解説をします。
飲酒時の飛行禁止
アルコールの接収は当然のことながら「薬物(麻薬や覚せい剤・医薬品も含む)」の使用に関しても、その影響によりドローンの飛行が正常に行えない場合に於いては「罰則の対象」となります。
このケースでは「国土交通大臣の承認」の有無とは関係が無く、例外を問わず禁止される行為です。
また、罰則規定についても「唯一、懲役刑が定められている」事もあり、飲酒時(飲酒後)の飛行は絶対に許される事はありません。
罰則:航空法第157条の8
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
飛行前の確認
飛行前の確認(点検)も遵守が求めらます。
具体的には、バッテリー・プロペラ・カメラなどが適切に取り付けられているのかを点検し、機体の損傷の有無を目視する事や、通信機器・制御器系統が正常に作動しているのかについて確認が必要ですが、燃料やバッテリーの残量もチェックが必要です。
また、空域(飛行経路に他のドローンが飛行しているか否か)や周囲(飛行経路に第三者がいない事を確認)の状況を確認する必要もあります。
飛行前の確認については「遵守項目」となり、国土交通大臣の承認の対象ではありません。
罰則:航空法第157条の9第12号
50万円以下の罰金
衝突の予防
ドローンを飛行させる場合は、航空機や他のドローンとの衝突を予防する事が必要です。
万が一、飛行中の航空機や他のドローンを確認した場合は「地上に降下させる必要」が求められますが、衝突の可能性が無い方向へ飛行させる事や、ドローンを空中で停止させる事も状況によっては認められています。
こちらについても「国土交通大臣の承認」の対象とはならず、遵守する必要があります。
罰則:航空法第157条の9第12号
50万円以下の罰金
危険飛行の禁止
危険飛行とは「他人に迷惑を及ぼすような方法(飛行)」の事を指し、人に向けてドローンを急接近させる事や、必要のない高調音(プロペラ音やエンジン音など)を発する行為を言います。
このような「危険飛行」は、国土交通大臣の承認が対象では無いため例外を認められることはありません。
また、罰則の対象となるケースとしては「道路・公園・広場・その他の公共の場所の上空に於いてドローンを飛行させた場合」も含まれるので注意が必要です。
罰則:航空法第157条の9第13号
50万円以下の罰金
ここまでの各項目については「国土交通大臣の承認の有無が対象」では無く遵守(禁止)が求められる行為となりるので、ドローンを飛行させる場合に於いては必ず守る必要があります。
ドローン飛行のルール|国土交通大臣の承認がを要する規制
ここからは、国土交通大臣の承認を得ることで「例外的に許容される内容」についての項目を解説しますが、それぞれの項目については「原則:禁止」されている飛行方法です。
そのため、規制に反する飛行を行った場合は「罰則の対象」になりますので、その内容についても触れておきましょう。
夜間飛行の禁止
ドローンを飛行させる場合に於いては「日中の飛行が望ましい」とされており、夜間の飛行をする場合は「国土交通大臣の承認」を得る必要がありますが、ここで言う「夜間」とは国立天文台が発表する「日の出と日の入りの時刻」が基準となります。
注意が必要
地域によっては日の出と日の入り時刻に差があるので注意が必要。
また夜間飛行については、機体・操縦者・安全に関する通常の基準に加えて「追加基準」も定められているため注意が必要です。
罰則:航空法第157条の9第14号
50万円以下の罰金
目視外の飛行
目視外飛行とは、機体を「常に目視で確認出来ない場合の飛行」を指します。
この場合も国土交通大臣の承認が必要になるのですが、補助者による目視や「双眼鏡・モニーターを使用する場合の監視」は「目視外飛行」になるので覚えておきましょう。
罰則:航空法第157条の9第14号
50万円以下の罰金
30m未満の飛行
人や物件に対して30m未満の距離で飛行を行う場合は、国土交通大臣の承認が必要となります。
また、ここで言う「人」とは「関係者以外の者」を指し、「物件」については「関係者が所有・管理する物件以外のもの」のが対象となります。
物件とは:法律上の物のこと。物品などの動産や、土地・建物の不動産の類。
罰則:航空法第157条の9第14号
50万円以下の罰金
イベント会場などの上空飛行
イベント会場の様に大勢の人が集まる場所でドローンを飛行させる場合も国土交通大臣の承認が必要ですが、自然に発生した場合の「人だかり」については該当しません。
また、承認が必要になるのは「原則:開場から閉場までの事前に定められた時間」に飛行させる場合です。
罰則:航空法第157条の9第14号
50万円以下の罰金
危険物の輸送
運搬用のドローンに於いては「10㎏以上の物」を運べる機体も多く、今後は物流業界での活躍も期待されていますが、ドローンの用途(使用目的)に依っては「火薬類や高圧ガスなどの危険物」を輸送する可能性もあります。
そのため、輸送中のトラブルや落下時に想定される人への危害・建物などへ損傷を与えてしまう事が想定されるため、原則:危険物輸送は禁止されているのです。
また、先程のような火薬類や高圧ガスの場合であれば危険物との判断は容易に出来ますが、日用品や救急キットなども「危険物に分類される」ため注意が必要です。
罰則:航空法第157条の9第15号
50万円以下の罰金
物件の投下
最後は物件の投下について解説をします。
産業用ドローンの中には農薬散布を行う事ができる「農業用ドローン」も広く活躍していますが、農薬をはじめ水や霧状の液体を散布する場合も「物件投下」に該当します。
また、物件投下の前後に於いては「機体を安定して飛行・制御(バランスを崩す可能性がある)」させる事が求められるため、国土交通大臣の承認を得る場合についても「物件投下の実績」が問われます。
罰則:航空法第157条の9第16号
50万円以下の罰金
まとめ
この記事では【ドローン・操縦】初心者の方必見|飛行させる場合に必ず守る「ルール・航空法」について解説をしましたが、最後にポイントだけ整理しておきます。
記事のまとめ
飲酒時にドローンを飛行させる事は例外問わず禁止されている
飛行前に機体の確認(目視や通信機器など全て)を行う
他の航空機やドローンとの接触を予防する必要があり、適切な対応が求められる
他人に迷惑を及ぼす飛行(急降下や高調音を発すること)の禁止
夜間飛行は原則禁止となり、国立天文台が発表する「日の出と日の入り」が基準となる
目視外の飛行は禁止されているが、補助者の目視・双眼鏡・モニターを使用する場合も目視外飛行と判断する
人や物(物件)に対する「30m以内の飛行」は原則禁止されているが、関係者を含め、その者が所有・管理するものは該当しない
イベント会場など「大勢の人が集まる上空での飛行は禁止」されるが、自然に集まった「ひとだかり」はこれに該当しない
危険物の輸送は指定される項目が多いため、事前に確認が必要
水や霧状の液体を散布する場合も「物件投下」に該当する
この記事で解説をした飛行のルールについては「最低限、守る必要があるルール」ですが、実際の現場では想定外のトラブルが発生する事もありますので、ドローンを飛行させる際はくれぐれもご注意ください。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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